宇治三室戸寺から平等院へ

今回は短かった梅雨前の5月末、宇治の三室戸寺から平等院への散策をお伝えしたい。宇治へは最寄りの観月橋駅から京阪宇治線を利用した。本来であれば三室戸寺へは三室戸駅から東へ、かげろうの道を緩やかに登って行けば15分ほどで到着する。しかし今回は宇治グルメも楽しもうということで、行きがけにまずは京都でNo.1のパン屋さんと評判の黄檗の「たま木亭」に立ち寄ることにした。朝9時頃にはお店に到着したが、前日にローカルテレビで取り上げられていた事もあり、既に長蛇の列が出来ていた。待つこと1時間、ようやく店の中に入ることができたが、パンの種類の多さにまたびっくり。お昼用に天然酵母のカスクルート、エビのフォカッチャそれに噂のクニャーネを購入。持ち帰り用にはこれも評判のカレーパンや明太子パンなどの総菜系と他に角食をまとめ買いし、総額3千円なり。とは言うものの他のお客さんも大きな袋に大量買いの人ばかりで、恐らく回転も良さそうなので出来立てパンがすぐ店頭に並べられるのも人気の秘密かもしれない。

昼食の用意も出来たところで、いよいよ本題の三室戸寺へ足を延ばすことにしよう。住宅街を抜けながら、かげろうの道へ入れば後はまっすぐな一本道。程なく左手に山門が見えてくる。こちらの庭園は京都でも有名なあじさい園だが、残念ながらまだ開園には早く見ごろも恐らく2週間ほど先になるであろう。ただ、いくらかはその面影もあり、700鉢の「あじさい昇鯉図」もちょうど作成中であった。階段を上るとそこには宇賀神さん(狛蛇)が鎮座しており、本堂にお参りする前にこちらで蛇の尾(金運)、髭(健康長寿)、耳(福)を撫でて一挙三運を授かった。そして本堂にお参りするとこちらには狛兎と宝勝牛(狛牛)が鎮座しており、いずれも昇運や勝運がつくとのことでこちらも迷わず授かることにした。残念ながら満開のあじさいは楽しめなかったが、思わぬ運を頂いた次第である。

それでは三室戸寺を後にして、次の目的地である平等院へと向かおう。三室戸寺から府道京都宇治線まで出て、そのまま宇治橋方面を目指すことにした。「たま木亭」での行列もあり、三室戸寺への道のりで昼近くになってしまった。この日は30℃近くに気温が上がったこともあって、少々疲れて休憩したいなと思ったところで、運の良いことに通りの向かい側に伊藤久右衛門宇治本店・茶房の暖簾が現れた。思わず涼を求めてその暖簾をくぐると、京都市内や宇治駅前では人気で満員とのことだが、ラッキーなことに直ぐに二人分の席を確保できた。こちらは府道沿いということもあり車でないと足を延ばすのが難しいのだろうが、京阪宇治駅からも徒歩7‐8分のロケーションであり、宇治方面の散策時にゆっくりと宇治茶やスウィーツを楽しむのにはお勧めの穴場かもしれない。

伊藤久右衛門のかき氷とパフェで一休みした後は、いよいよ平等院を目指すことにしよう。宇治川まではものの10分ほどの距離なので、途中宇治上神社や宇治神社を覗きながら源氏物語・宇治十帖の碑で光源氏の世に想いをはせつつ、宇治川畔へ出て朝霧橋を渡り、塔の島の宇治公園を経由して平等院へと向かうルートを選んだ。平等院へ参詣する前に、宇治川畔で腰を下ろし、朝仕入れた「たま木亭」のパンで腹ごしらえをすることにした。もちっとしながらもしっかりしたパンの食感と、中の具材も質量ともバランス十分で、朝霧橋と平等院を眺めながらの昼食は言うことなしである。天気の良い日にはこんなアウトドアでの昼食もお勧めかもしれない。

平等院へは南門から入場することにし、帰りは表参道からJR宇治駅を目指すことにしよう。鳳凰堂内部の拝観は1時間待ちとのことなので、まずは庭園とミュージアムを一通り眺め、定番の写真を撮ることにした。時期によっては池の水も枯れてお決まりの逆さ平等院の画が取れなかったという人もいるようだが、今回はきれいに切り取ることができた。平等院の拝観は数十年ぶりのことなので以前の記憶も定かでないが、随分彩鮮やかになったと感じたのは思い過ごしだろうか。そろそろ鳳凰堂拝観の時間になってきたので、受付へと足を運び入場を待つことにした。拝観は20分毎とのことで一度に30名程だろうか。案内の方の説明を聞きながら、改めて1000年も前の木造建造物が何度も修復されながら、今も立派に現存し、私たちが目に触れることができていることに新鮮な感動を覚えた。

平等院の参拝を済ませ、JR宇治駅へと向かう道すがら参道のお店を冷やかしながら歩くのも良いだろう。宇治川沿いもそうだが、参道沿いも観光客向けにきれいに整えていることに感心させられる。老舗の店は勿論だろうが、ちょっとしたお店やカフェも宇治のスタイルを意識した店構えをしており、客も思わず立寄ってみたくなる雰囲気である。とは言うものの、やはり宇治と言えば伊藤久右衛門と並び人気の中村藤吉本店・宇治本店も覗いてみたい。こちらもカフェスペースとお土産スペースがあるが、カフェは満員で席待ちとのことなのでお土産を冷やかして帰ることにした。個人的には伊藤久右衛門はスウィーツ系も豊富だが、中村藤吉はお茶がメインという気がする。好みは人それぞれだろうが、その日の気分で選んでみるのも一興かもしれない。そうこうするうちに、JR宇治駅が目の前に現れたので、宇治ウォークもそろそろ終了である。今日のウォーク11km、あじさいの季節とは少しずれていたのは残念だが、天気にも恵まれ、新鮮な発見もありの楽しい一日だった。

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